2014年東京造形大学ZOKEI展 ZOKEI賞受賞

2014. 01
3600 cm ×7000 cm
技法:インスタレーション
制作日数:200日間
素材:塩、毛糸、木材

「環(めぐる)」というタイトルには直訳で「Loop」、 他に「Cycle」、「Repeat」という意味が含まれている。
「Cycle」は、バックミンスター・フラーの著書「宇宙船地球号 操縦マニュアル」から、 「あきらかに、この惑星の上の生命のほんとうの富は、
未来に向かって作用する、代謝的で知的な再生システムそのものなのだ。」
という一文を意味している。
彼は哲学者であり、建築家であり、持続可能な世界を実現するための方法を探り続けた人物である。
この一文は、フラーの提唱する富の概念のこと、つまり私たちの富はお金ではなく奪い合うものでもなく、 人類の本来の富とは太陽光や空気や循環システムなどの、誰にとっても豊富にある自然のエネルギーのことを意味している。 フラーはこうも言っている。「私たちの宇宙船地球号は、船内で生命を繰り返し再生できるように、実に驚くべきデザインとなっている」と。
下に敷かれた図形は、フラーによって作られたダイマクションマップである。 ダイマクションマップは、「一つの世界大洋の中に大陸の輪郭線が切れないでつながった一つの世界島を示して」いる。 そこにはまさにフラーの「我々は宇宙船地球号の船上員である」という思想が反映されている。
「Repeat」は、ミリマリズムの反復させる手法を使用した。 正三角形を使用しモチーフを配置し、毛糸と塩というシリアルな素材を用いた。 大きなピラミッド型の三角形は、ジョン・マクラッケンの 「四角形の標準的な建築基盤の最上部、つまり屋根」という意図で作られた作品から、モチーフを逆さにして使用した。 「屋根=地球号、私たち生命の住む家」を表している。
塩が暗喩しているのは大地と海、生命の源である。 毛糸は地球の循環システムを意味した、身体をめぐる動脈と静脈である。赤色には意味は含まれない。 観客がこの作品の中に入ることによって作品が壊れ、作品は抹消される。
この作品は作家の手仕事からは脱離している。「芸術は唯一のものであってはならない。誰にとっても何時でも再生可能であるべきだ。」 全てが数値化され、一切の偶然性も伴ってはいない。